現在、女性外来は患者側のニーズを受け、急速にその施設数が増加しているが、現場の実態は天野が理想としている「性差医療に基づく女性外来」とは、いまだ大きくかけ離れている。ことに県ならびに市町村の議会の決定により、県立、市町村立病院に設置された女性外来では、担当する女性医師より多くの問題提示がなされている。
@トップダウンで女性外来を担当するように言われたが、何をしていいのか分からない
A振り分け外来だけで終わっていて、自分の介入がどのような効果をもたらしたのがまったく見えない
B周囲のスタッフの協力がまったく得られないという声が主たるものである。
このような事態に対して解決策としては、担当する女性医師に「性差に基づく女性医療」の重要性と未来への展望を語り、彼女たちのやろうとしていることが、これからの「少子・高齢化社会」を支える女性たちのために最も必要な医療サービスであることを認識してもらうことが必要である。
同時に、現在の医学教育の中に、性差の視点が取り込まれていない現状では、現場の女性外来担当医師に必要な教育機会を提供するところから始めなくてはならない。女性の特有な疾患でありながら、医学教育で取り上げられていない疾病を認識してもらうことをはじめとして、女性外来では、精神症状を呈する患者が圧倒的に多く、メンタルヘルスに関する敷居を明らかに低くし、患者を助けていることより、心身医療に関する知識と経験を重ねてもらうことが必須である。
女性外来では漢方が非常に奏効することが多く、漢方と西洋医学の併用が患者からも求められる。漢方薬、中枢神経系用剤に関する知識が不可欠である。現在、我々は全国で漢方ならびにメンタルヘルスのセミナーを女性外来担当医師に向けて展開している。参加者の熱意は非常に高い。
未だ、少数の女性外来担当医師の熱意と情熱に成功・不成功が委ねられている現状を打破するための活動を継続しなくてはいけない。生涯にわたる女性の医療の中で、女性ホルモンと環境がもたらす女性特有の健康障害・疾病に関する理解が教育の中で、医療政策の中で、更に進むことを望む。
表1:全国に展開する女性外来リスト一覧
表2:女性外来設立母体と設立数
図1:女性外来設立母体と設立年度
U-(9)女性外来実態調査
表 2 女性外来設立母体と設立数
