Subject:

Not for women only: Osteoporosis in men

女性だけではありません−男性の骨粗しょう症

Source:

American Association for Clinical Chemistry, Press Release July 21, 2003

(翻訳:生賀恵美;文責:松永晶子; 監修:    提供:株式会社ライフモード)

 

アメリカ骨粗しょう症財団によると、年齢50才以上の男性における骨粗しょう症関連の骨折のリスクは、前立腺がんのリスクを上回る。これらの男性8人に1人は、骨粗しょう症に関連する骨折を経験し、また65歳以上の白人男性においては、その大腿骨頚部骨折の約80%が骨粗しょう症に起因している。また大腿骨頚部骨折から1年後における男性の死亡率は、女性のそれのほぼ2倍である。アメリカ国立保健研究所(関節炎・筋骨格疾病・皮膚疾患研究所)は、これらのデータとベビー・ブーマー世代の老化という現状を受け、1999年に、男性における骨粗しょう症の有病率およびその主要なリスク要因を調査する目的で、65才以上の男性を対象に数年にわたり数箇所で実施される調査研究に、およそ2,400万ドルを割り当てた。

男性の骨粗しょう症は、私達の想像以上に一般的

男性の骨粗しょう症は私達が考えている以上に一般的であり、骨粗しょう症を「男性の医学的問題」の一つとして伝統的に認識して来なかった医師によって、適切に診断されていない現実があると考えられる。骨を脆弱にし折れ易くするこの疾患は、女性と同様に男性も罹患し、骨折を起こす。また女性の場合がそうであるように、骨粗しょう症は骨密度検査によって早期発見される。しかし男性における骨粗しょう症の罹患率は十分に認識されておらず、50才以上の男性に対する骨密度検査は現時点では推奨されていない。

2次的リスク要因

アルコール(そしてより軽度ではあるが喫煙)の大量摂取は、肝臓を損傷させる傾向がある。これは精巣における男性ホルモンの産生を抑制するだけでなく、ビタミンDの代謝にも影響を与える。アルコールは、骨を形成する細胞に直接悪影響を及ぼすことによって骨を損傷させると考えられる。栄養は2次的な要因であり、栄養不良の人の骨密度は非常に低い。

アメリカ臨床化学会第55回年次会議での発表

Clifford J. Rosen医師は、Maine Center for Osteoporosis Research and Education(骨粗しょう症研究・教育メイン・センター)の所長を務め、St. Joseph Hospital(セント・ジョセフ病院)の関係者でもある。これらはどちらも、メイン州バンゴー市に所在する。彼は、2003年7月20日から24日に開催されるアメリカ臨床化学会第55回年次会議において、「男性の骨粗しょう症」と題された講演の中で、同センターが実施している研究の現状を発表する。この会議は、ペンシルベニア州フィラデルフィアにある、ペンシルベニア・コンベンション・センターで開催され、1万6,000人以上の参加者が予定されている。

マウスを使用する同センターの研究は、一方の性に特定される遺伝因子が影響していることを示唆している。したがってアルコール、喫煙、男性ホルモンといった2次的要因が存在しない場合でも、何らかの遺伝的素因が関与している場合、男性は骨粗しょう症のリスクが高くなる傾向がある。

全ての男性に骨密度検査を行って骨粗しょう症を診断するという方法は、現時点では実用的ではない。遺伝子検査ツールが開発されれば、リスクの高い男性の特定が容易になるだろう。Rosen医師はプライマリ・ケアの立場から、説明のつかない背痛がある、もしくは腎臓結石、アルコール依存症の病歴やステロイドの使用経験といった2次的要因をもつ50才以上の男性は、骨密度検査を受けるべきであると話している。

認識可能なリスク要因をもたない男性については、現在使用できるマーカーは無い。研究グループが、骨粗しょう症の男性における潜在的リスク要因として使用しているたんぱく質は、「IGFプロファクター1」だけである。IGFと低骨量の間に直接的関係はない。

原因は何か?

男性の骨粗しょう症の原因は、未だ明らかにされていない。しかしRosen医師は、以下の病歴を持つ男性は、リスクが高いと見ている。

★ 遺伝学的特徴:ある男性の母親または父親が骨粗しょう症であった場合、その男性が骨粗しょう症に罹る可能性は、両親に骨粗しょう症の病歴が無い男性のそれと比較して大幅に高くなる。

★ 腎臓結石:腎臓結石は男性に比較的よく見られる疾患であるが、腎臓結石を持つ男性は骨粗しょう症のリスクが高い。

★ 下垂体の問題または男性ホルモン産生の問題:これらの問題を経験したことのある男性は、骨粗しょう症のリスクが高い。

★ グルココルチコイドを使用する治療:ぜん息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、クローン病、関節リウマチ、移植手術後に起こる症状などの治療を目的に、グルココルチコイド(コルチゾンまたはプレドニゾン)を使用した経験をもつ男性は、骨粗しょう症のリスクが高い。

推奨事項

Rosen医師は、55才以上の男性で、不可解に2インチまたはそれ以上身長が低くなった人は直ちに骨密度検査を受けるよう推奨している。また骨折は非常に強力なリスク要因であるため、成人してから骨折を経験した男性も検査を受けるべきである。骨粗しょう症の診断を受けた後の治療は、腎臓結石や潜在的要因(アルコールなど)といった骨粗しょう症に寄与するあらゆる要因を排除することから始まる。また食餌やカルシウム摂取などの要因も改善されなければならない。その後は、骨粗しょう症治療の第一選択薬(例:FosomaxR)をビタミンDと共に使用するなど、より積極的な治療が続く。ビタミンDも症状の治療に使用されるべきである。