女性の乳がん患者がアジュバント化学療法を受けるか否かを検討する際、正式な意志決定エイドの使用が患者の決断に役立つと、アメリカがん研究所ジャーナル4月16日号に掲載されたある研究は述べている。
この研究では、患者が医師のコンサルテーションに加えて意志決定エイドを使用することにより、疾患に関する患者の知識が高まり、意思決定のプロセスに対する患者の満足度も増加するという結果が得られている。意志決定エイドは、患者が治療方法を選択するにあたり、より豊富な情報に基づいた決断を下すことを支援する目的で作成されており、治療法の選択肢に関する説明と、リスクと効果の量的推計を提供する。また治療法の選択にあたっては、患者自身の価値観を考慮するよう奨励しながら、患者ごとに情報をカスタマイズする。今回の研究で使用された意志決定エイドは、視覚的補助と文書で構成されており、医療コンサルテーションの際に看護師から提供された。
カナダのオンタリオ州にあるHamilton Regional Cancer CentreのTimothy Whelan医師の研究グループは、リンパ節転移陰性の乳がん患者を対象に無作為化試験を実施した。この試験の目的は、患者が治療法の選択肢を理解するうえで「ディシジョン・ボード(Decision Board)」と呼ばれる意思決定エイドがどのような効果をもつのかを検証することであった。試験に参加した176人の女性は、ディシジョン・ボードと医療コンサルテーションの両方を受けるグループと、医療コンサルテーションだけを受けるグループに無作為に分けられた。そしてコンサルテーションが終了した1週間後、全参加者は、乳がんに関する知識と治療法の決定に対する満足度を評価するアンケートに答えた。
調査結果からは、ディシジョン・ボードを受けた患者は、医療コンサルテーションだけを受けた患者と比較して、自身の疾患、がん再発のリスク、治療法の選択肢に関する理解がより深いことが判明しており、また意思決定のプロセスに対しても満足度が高いことが分かった。さらにディシジョン・ボードの使用は、意思決定のプロセスへ積極的に参加することを望む女性の数を増加させることにもつながった。
研究グループはディシジョン・ボードの使用が、患者の不安やコンサルテーションの時間を増長させたり、アジュバント化学療法を受ける患者の数を増加させることはなかったと注釈しており、「早期乳がん患者に全身のアジュバント療法の選択肢を提示する際、このようなツールの使用を検討するよう医師に呼びかけています」と話している。
この研究レポートの論説委員には、カナダのUniversity of OttawaおよびOttawa Health Research InstituteのAnnette M. O'Connor博士、ボストンのMassachusetts General HospitalおよびHarvard Medical SchoolのAlbert G. Mulley, Jr.医師、ニューハンプシャー州ハンノーバーのDartmouth Medical SchoolのJohn E. Wennberg医師が参加している。編集では、患者ががん治療の決断を下すために、治療法に関する複雑な詳細を理解するうえで、意志決定エイドがどのように役立つのかが討議された。彼らは、意志決定エイドの存在とその有用性を医師に認識させることが重要であること、意思決定エイドは、患者の興味をそそり、簡単に使用でき、追加の費用/時間/機器が不要であること、そして最新の情報を反映したものを使用しなければならないことを指摘している。また医師に対して意思決定エイドの使用を奨励するアプローチが必要であるとも加えている。
「意思決定の質を測るシンプルで確かな方法が開発・普及されるまでは、意志決定エイドの使用を医師に強く奨励することはできないでしょう。患者が何に価値をおいているのかという点と、患者が実際に受ける治療との間には重要な不一致があります。この不一致と関連情報の間に存在する重大なギャップを、このような測定法が必ず埋めてくれるはずです」と、論説員の彼らは話している。
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