親が子どもの友達や行動、学校での生活ぶりなどを熟知し、子どもと深い関わりをもつ親子関係は、子どもたちが友人から受ける喫煙への誘惑を克服するうえで役立つという結果が、National Institute of Child Health and Human Development(NICHD―アメリカ国立小児健康発育研究所)の研究で得られた。
青少年のあいだで喫煙が広まっていると考えている子どもほど、タバコを吸い始める傾向が高くなるという結果が過去の調査で得られているが、今回の調査結果もこの見識を肯定している。さらに、優れた社会性(自制心や適正な判断能力など)および子どもの行動を注視する親をもつ子どもは、喫煙を始める傾向が低いことも明らかになった。この調査はメリーランド州郊外の学校区域内にある4校のミドルスクールで実施され、調査結果はPrevention Science(予防科学)の2002年12月号に掲載されている。
ティーンエイジャー(13-19才)および13才以下の子どもがタバコを吸い始めることに対し、同年代の友人や親が重要な影響を与えることは既に認識されていた。しかし友人から受けるタバコへの誘惑に対し、他の要因(親の介入、子どもの学校への適応、社会的能力など)が影響を与えるか否かについては、これまであまり調査されていなかった。
「子ども達の多くは、思春期の始めの頃に遊び半分でタバコを吸います。そしてそのうちの大部分が、その後も一生常用するようになり、人生の後半に深刻な疾患を引き起こすことにもなりかねません。今回の研究は、親が子どもの生活に関与することで、子どもを喫煙の習慣から守ることができることを示唆しています」とNICHDのディレクター、Duane Alexander医師は語った。
NICHDのDivision of Epidemiology, Statistics and Prevention Research(疫学、統計学、予防調査部)のBruce Simons-Morton博士は、4校のミドルスクールに在席する6年生1081人を対象に、学年度の始めと終わりに調査を実施した。調査に使用されたアンケートは広範な質問をカバーしており、友人の行動や友人から期待されること、自分自身の誘惑に打ち勝つ能力、衝突を解決する能力、自制心を維持する能力、また自分自身がどの程度規則に忠実であるか、学校で課題を期限内に終えることができるか、クラスメートや先生とうまくやっているか、といった内容も含まれていた。またこのアンケートの中には、子どもの生活への親の介入や、親が子どもに抱いている期待、そして指示したことを子どもがきちんと行ったか否かを親が確認しているかという質問もあげられていた。
喫煙、飲酒、カンニング、親への嘘、いじめ、器物破損などの問題行動に関わる友人をもつティーンエイジャ−のうち、親の介入が比較的浅い家庭の子どもは、親の介入が比較的深い家庭の子どもと比べて、喫煙する傾向がより高いことが判明した。この結果は、男子、女子、アフリカ系アメリカ人、白人、片親と暮らす子ども、母親が大学に進学しなかった家庭の子どもを含め、調査に参加した全ての子どもに共通していた。一方喫煙に対する親の期待や、家庭内における成人喫煙者の有無は、子どもがタバコを吸い始めることを決定するうえで、それほど大きな影響を与えていなかった。
「親の介入は、特に思春期の初期に重要だと言えるかもしれません。多くの子どもが『親離れ』を主張する時期ですが、未だ同年代の友人の影響が全てというところには達していません。またこの時期の子ども達は、依然として親の価値観や心配事に敏感です。親が喫煙を認めないことはわかっていますから、あまり積極的にタバコを試そうとはしないかもしれません」とSimon−Morton博士は話した。
今回の調査は、過去の2つの調査結果を肯定している。青少年の喫煙者数を予測した際に多い人数をあげた生徒は、低い人数をあげた生徒と比較して、タバコを吸う傾向が高かった。この結果は、タバコを吸う友人の数が比較的多い子どもと、その数が比較的少ない子どものどちらにも共通して見られた。また6年生の生徒について、自制心や正しい判断力をそなえ、親から行動を注視されている子どもでは、タバコを吸いはじめる傾向が低いことも明らかになった。
Simon−Morton博士は、この研究が全国ベースの調査ではなく、郊外の一学区内に存在するミドルスクール4校に限定された結果であることを加えた。また親の承諾が得られず調査に参加しなかった生徒や、調査当日に欠席した生徒もいたため、調査対象のうち一部のグループについては、完全な結果が得られていない可能性もある。
|