「America‘s Children:Key National Indicators of Well−Being 2002 (アメリカの子供達 ―福祉に関する主要な全国指標2002年)」の第6回年次報告書はアメリカの子どもに関して、過去数年と比較した幼児期の死亡率低下、8年生または10年生での喫煙率低下、未成年期に出産する比率の低下を発表している。またこの報告書は、経済の安定性に関する指標にも着目しており、少なくとも両親の一人が働いている子どもや、医療保険をもつ子ども、さらには、家族に毎日本を読み聞かせてもらっている3〜5歳の子どもの比率が増加傾向にあるとレポートしている。
America‘s Childrenは、アメリカの子どもの現状に関する調査報告書である。その中では、子どもの貧困率(2000年は16%)、適切な予防接種を受けている子どもの比率(2000年は76%)、毎日喫煙する12年生の比率(2001年は19%)、過去2週間に5本以上のアルコール飲料を毎日続けて飲んだ12年生の比率(2001年は30%)などを含め、子どもの福祉に関する様々な指標が考察されている。その大部分においては、前年からの変化や統計学的に顕著な変化は見られていない。しかし前年との比較では大きな変化が確認された指標がほとんど無かった一方で、数年を経て主要なトレンドを示唆するものは多く、例えば毎日たばこを吸う12年生の数は1993年以来減少傾向にある。
現在の子ども達のあいだでは、数年前と比較して人種の多様化が進んでいる。近年他の人種以上に急増しているのはヒスパニック系の子どもであり、アジア系/太平洋諸島系の子どもの比率も1980年から2000年にかけて倍増している。さらに2001年の報告書では、アメリカの子どもの19%が(少なくとも両親の一人が)外国生まれの親と暮らしていると特記されている。アメリカの子どもに見られる有望な傾向はとしては幼児死亡率の低下があり、1997年および1998年の幼児死亡件数は、誕生1000件のうち7.2件であったのに対し、1999年には7件に減少した。
「幼児死亡率は改善が困難な大変手強い問題です。ですから、たとえわずかな減少であっても、それは大きな成果を意味します。幼児死亡率の低下が確認できたことは、非常に有望な成果だと言えるでしょう」と、National Institute of Child Health and Human Development(小児保健および人間発達国立研究所)所長 Duane Alexander医師は話している。
Healthy People 2000(ヘルシー・ピープル2000 − アメリカ社会保健福祉省が作成した健康に関する全国目標)は、2000年までに幼児死亡率を7.0件まで減少するという目標を設定していたが、「この目標を1年早く達成できたことになります」と、Alexander医師は話している。
子どもと家族の統計に関する連邦機関フォーラムが編集した今回のレポートは、経済安全保障、健康状態、行動、社会環境、教育といった子どもの福祉に関連する主要分野に焦点をあてた包括的な調査報告書である。以下のアドレスで一般公開されている。 http://childstats.gov http://childstats.gov.
この報告書によると、幼児の死亡率は1983年以来下降傾向にあり、1999年には5〜14歳の子どもの死亡率も低下した。また5〜14歳の子どもにおける死因のトップは不慮の負傷であり、がん、先天的欠損症、殺人がこれに続く。1〜4歳および15〜19歳の子どもの死亡率については大きな変化は見られなかった。
これまでのレポートと同様に今回もまた、大部分の子どもにおいて(全体の82%)健康状態は「優良または極めて優良(in very good or excellent health)」であると報告している。貧困家庭の子どもにおいては、健康状態が「優良あるいは極めて優良」である比率が、高収入家庭の子どもほど高くはないが、その一方で収入による健康状態の格差は過去数年で縮小している。1984年、低収入家庭の子どものうち、健康状態が「優良または極めて優良」であった子どもの比率は60%を若干上回ったに留まったが、この数字は2000年までに70%へ上昇した。これに対し高収入家庭の子どもにおける同様の比率は、1984年の83%から2000年には85%に増加しただけであり顕著な改善は見られなかった。
「なされるべきことは、まだまだたくさんあります。しかし私達が国全体で経験した医療の発展を、アメリカの最も貧しい子どもたちと共有できる可能性は確実に改善されました」と、National Center for Health Statistics,Centers for Disease Control and Prevention(国立保健統計センター、疾病管理予防センター) 所長のEdward Sondik博士は語った。
Sondik博士はまた、未成年期の女子の出産率が低下している点にも注目している。1999年、15〜17歳の女子における出産の割合は1000人中29件であったが、2000年には27件へ減少し、全米の最低値を記録した。
「これは非常に好ましいニュースです。未成年者の母親から生まれた子どもは、成人した母親の子どもと比較して、出産時の体重が少ないケースが多く、長期的な身体障害を引き起こすリスクも高くなります。また未成年期に出産を経験する女子では、学校を卒業しない傾向が高く、将来の雇用の可能性が制限されることにもつながります」と、Sondik博士は話す。
経済安全保障
両親の少なくとも一人が、年間を通してフルタイムで働いている子どもの比率は、1999年の79%から2000年には80%に増加した。この増加傾向は、1980年の70%に端を発しており、安定した長期的推移の一部であると報告されている。両親の少なくとも一人が年間を通してフルタイムで働いている子どもの比率が増加した主な原因には、働くシングルマザーと暮らす子どもの増加がある。その数は1993年の33%から、2000年には50%に増加したと、このレポートは伝えている。
貧困状態にある子供の割合については1999年から目立った変化は無く、2000年も16%であった。貧困状態にある子どもの割合は、1993年の22%をピークに、その後1999年まで減少傾向が続いた。現在の子どもの貧困率は、1979年来の最低レベルに下がっている。
この報告書は、女性が世帯主の家庭に居住する子どもの貧困率の低下を特記している。1980年、女性が世帯主の家庭に住む子どもの貧困率は51%であったが、この数字は2000年までに40%へ低下した。
「この傾向は、特にアフリカ系アメリカ人の子どもに顕著でした。1993年まで、女性世帯で貧困家庭に暮らすアフリカ系アメリカ人の子どもの割合は66%周辺を停滞していました。しかしこの数字は1993〜2000年の7年間で減少し、2000年には49%まで下がりました」と、Demographic Program at the U.S. Census Bureau (アメリカ国勢調査事務局)人口統計学プログラムの副ディレクターNancy Gordon氏は語っている。
このレポートは2000年に、「子どもが空腹状態にある家庭」に暮らす子どもの数が減少したと報告している。子どもが空腹状態にある家庭に暮らす子どもの数は、1998年の1.0%から改善され、2000年には約50万人(0.8%)となった。またこのレポートは、一部の子どもが飢えを経験している一方で、それ以上の大勢の子どもが食物の安定供給が不可能な家庭に暮らしていると解説している。活発で健康な生活を送るために必要な食物を継続的に供給することができないこのような家庭では、子どもの食物を確保するために大人が空腹状態で過ごしているという状況も予想される。
1998年、少なくとも家族の一人が、空腹感と共に食物供給に危機感を抱いた経験を持つ世帯に暮らす子どもの比率は全体の4.7%であった。2001年にはこの数字は4.1%に低下している。また全体の13.9%の子ども、そして貧困状態にある子どもの35.3%は、彼ら自身が実際には空腹を経験していなくとも、「食物供給が不安定な家庭」と分類される世帯に暮らしていた。
行動、社会環境および教育
この報告書で考察されている行動と社会環境の指標からは、8年生と10年生の子どもが毎日喫煙する割合の大幅な減少が確認されている。2000年には8年生の7.4%が毎日喫煙していたが、2001年には5.5%に下がった。また同じ時期の10年生の喫煙率も14%から12%に低下している。しかし12年生の喫煙率に関しては、2000年が21%、2001年が19%で大きな変化は見られなかった。
教育分野の傾向としては、家族から毎日本の読み聞かせを受けている3〜5歳の子どもの割合が、1999年の54%から2001年には58%に増加している。 「幼児への読み聞かせは言語の習得に役立ちます。読み聞かせをされていた子どもは、そうでなかった子どもと比較して、学齢期に達するまでに読む能力が発達し、学校での成績も優れている傾向が高くなります」と、 National Center for Education Statistics(全米教育統計センター)副コミッショナーのVal Pisko博士は述べている。
またこの報告書によると、幼児教育センターへ入所する3〜5歳の子どもの割合が、1999年の60%から2001年には56%に減少している。 「家庭での読書と同様に、幼児教育プログラムへの参加は、学齢期前の子供たちの技能や情操を向上させ、学校教育の成果を高めることにつながるだろう」と、この報告書は記している。
人口と家族の特性
この報告書によると、アメリカの子どものあいだでは人種の多様化が継続的に進んでいる。2000年にはアメリカの子どもの64%がヒスパニック系以外の白人、16%がヒスパニック系、15%がヒスパニック系以外の黒人、4%がアジア系/太平洋諸島系、1%がアメリカンインディアン/アラスカ原住民だった。
ヒスパニック系以外の白人の子どもは、1980年の74%から2000年には64%に減少した。ヒスパニック系の子どもの人口は、この期間に他のどの人種/民族の子ども以上に急増しており、全体における割合は9%から16%へ増加した。この結果から本報告書は、2020年までには子ども5人のうち1人以上がヒスパニック系になるだろうと予測している。一方同期間(1980〜2000年)における黒人、ヒスパニック系以外の人種、アメリカンインディアン/アラスカ原住民の子どもの割合はほぼ横ばいだった。
今回の報告書には、「少なくとも両親のどちらか一人が外国生まれの親をもつ子ども」という特別事項が含まれていた。外国出身の親と暮らす子どもの割合は、1994年から2001年で15%から19%に増加した。2001年の統計では、少なくとも両親のどちらか一人が外国生まれの親と暮らすアメリカ生まれの子どもの割合は、子ども全体の15%、また少なくとも両親のどちらか一人が外国生まれの親と暮らす外国生まれの子どもの割合は、全体の4%であった。
「このような家庭では、親や子どもが言語および文化的な障害を経験することがあります。外国生まれの親をもつ子どもが、学校生活や成人期への移行を適切に遂行するには、学校や家庭で何らかの付加的援助を提供する必要があるかもしれません」と、この報告書には記述されている。
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