Arthritis Research & Therapy (関節炎の研究&治療)の最新号に掲載されたスタンフォード大学の研究は、喫煙と関節リウマチ(Rheumatoid arthritis −RA)の複雑な相互作用を男性と女性を対象に調査している。2,625人を対象に実施されたこの比較試験は、男性では過去の喫煙経験により関節リウマチ発症のリスクが高まるが、女性では喫煙による関節リウマチ発症リスクが増加することは無いことを示唆している。
関節リウマチは、体の免疫系が関節を攻撃して発症し、患者は激しい痛みと移動能力の低下に悩まされる。その患者数はアメリカだけでもおよそ200万人にのぼり、女性の患者数は男性のそれの2〜3倍に相当する。関節リウマチの原因はほとんど解明されていないが、その発症リスクの増加には、肥満、食生活、年齢、喫煙経歴などを含む様々な要因が関与している。
男性と比較して女性の方が関節リウマチ発症のリスクが高い理由の1つには、女性の方が寿命が長いことが挙げられるが、それだけではこの疾患に対する感受性の違いを全て説明することはできない。過去の研究では、女性ホルモンが関節リウマチの発症に関与していることが示唆されており、また避妊ピルの服用や中絶といった要因も関節リウマチの発症リスクを悪化させると考えられていた。
男女間で異なるリスクを確認したうえで、スタンフォード大学 Eswar Krishnan 医師の研究グループは、喫煙が関節リウマチの発症率に及ぼす影響を男性と女性を対象に分析する調査を開発した。これは、関節リウマチ患者を健康な調査対象と比較する「ケースコントロール研究(患者対照研究)」であり、研究グループは、年齢、身長、学歴のデータに加え、ジェンダー(性別)と喫煙習慣に関する詳細な情報を収集し、関節リウマチ発症リスクに影響する他の要因を差し引いた。
このデータの初期分析では、喫煙が男性に対してのみ、関節リウマチ発症の危険因子となることが明らかになった。この格差をより詳細に調べるため、研究グループは患者のリウマチ因子レベルを検査した。リウマチ因子とは、関節リウマチ患者の80%に見られる血液中の変異抗体であり、身体の免疫系を刺激して関節周辺の膜組織を攻撃させると考えられている。喫煙はリウマチ因子の生産に関与しているため、喫煙が関節リウマチの発症リスクを高めるとしても不思議ではない。しかし今回の研究は、メノポーズ前の女性ではこの経路が遮断され、喫煙の悪影響が効果的に消失されることを示唆している。
今回の研究により、女性と男性の間には関節リウマチに対する感受性に格差があることが明らかになった。この消耗性疾患の患者を減らすためには、喫煙、関節リウマチ、そしてジェンダーの相互作用に関するさらなる研究が必要であると、研究グループは述べている。
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