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ノースカロライナ大学チャペルヒル校の科学者が中心となって行った研究は、精子中のある酵素が、精子の運動性と男性の生殖能力に不可欠であることを明らかにした。研究グループはこの研究が、効果的な男性用非ホルモン性避妊法の潜在的なターゲットを示唆するものかもしれないと話している。この研究結果は、2004年11月23日号の全米科学アカデミーのジャーナル「Proceeding」に掲載されている。研究チームには、ノースカロライナ大学に加え、アメリカ国立環境衛生科学研究所(NIEHS)、上海のFudan大学、アメリカ環境保護庁の科学者も共同研究員として参加していた。
精子の運動性は、精子の長い尾の連係運動によって作り出される。この運動は多大なエネルギーを要し、そのエネルギーは細胞の主要なエネルギー通貨とも言えるATP(アデノシン三リン酸)の形で提供される。精子の運動に必要なATPの大部分は、ミトコンドリア(糸粒体)として知られる特殊な細胞構造から提供されていると考えられて来た。しかしノースカロライナ大学医学部、細胞生物学および発生生物学助教授のDeborah A. O'Brien博士の研究グループは、精子の運動とATPの生産が、主に「解糖」と呼ばれる代謝経路に依存していることを見出した。この代謝経路は、動物や植物の細胞に見られる一般的なプロセスと同様に、糖からエネルギーを生成する。
研究グループは、GAPDS(glyceraldehyde 3-phosphate dehydrogenase-S:グリセルアルデヒド-3−リン酸デヒドロゲナーゼ-S)という酵素に着目した。GAPDSは解糖経路中の酵素で、精子生産の最終プロセスにある生殖細胞にのみ発現する。GAPDSは、精子の尾とほぼ同じ長さまで伸びる構造的要素に密接に結合している。研究チームは、この特殊な酵素を生産することが出来ないマウスを、「遺伝子ターゲティング」または「遺伝子ノックアウト」と呼ばれる技術を使って作成した。
GAPDSが無いと、解糖が精子の中で選択的にブロックされ、この経路からはATPが生産されない。そして予想通り、女性が正常で、なおかつ男性が正常なこう丸と精子数を持っていても、彼らには生殖能力は無かったと、O'Brien助教授は話す。また精子の動きを顕微鏡下で調べた研究員達は、予期せぬ事実を発見した。
「私たちは、『hyperactivated motility』といわれる種類の運動性が抑制されているだろうと予想していました。しかしGAPDSが不在の精子では、全ての連続的運動が見られませんでした。エネルギーの生産という点では、解糖はミトコンドリアほど効率的ではないかもしれません。しかし酵素は豊富にあり、また適切な場所に存在するので、精子の尾の動きに合わせて、局所的に迅速にエネルギーを生産できます。この研究論文は、GAPDSが避妊薬の有効なターゲットであるとする原理を支持する証拠を提供するものです」と、O’Brien助教授は話している。
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