Subject:

Nearness of supermarkets boosts people’s intake of nutritious fruits and vegetables, study reveals

近隣のスーパーマーケットの存在が、栄養価の高い果物や野菜の摂取増加につながる

Source:

University of North Carolina Press Release, November 2, 2002

(翻訳:生賀恵美;文責:松永晶子;監修:    提供:株式会社ライフモード)

 

University of North Carolina (UNC) at Chapel Hill School of Public Health(ノースカロライナ大学チャペルヒル校公衆衛生学部)が行った最新の調査によると、アフリカ系アメリカ人の果物および野菜の摂取量は、彼らが居住する近隣地区にスーパーマーケットが1店舗新設されるごとに32%増加したことが明らかになった。 一方白人アメリカ人については、1店舗以上のスーパーマーケットの新設で、果物および野菜の摂取量が11%増加している。

「スーパーマーケットの存在が、白人アメリカ人と比較して、なぜアフリカ系アメリカ人の食生活により大きな影響を与えたのか、その理由はわかっていません。私達が過去に行った研究からは、主に黒人居住地区で自家用車の保有率が低いことがわかっていますから、白人アメリカ人の方がより広い地理範囲から買い物先の店を選択できるのではないかと推測しています。またこのような近隣地域における差異が、食生活や疾患に格差をもたらす要因の1つではないかと考えています」と、Mt. Sinai School of Medicine(マウント・サイナイ医科大学)のKimberly Morland博士は話している。

この研究を指揮したMorland博士は、UNCで疫学の博士課程に在学中、博士論文の一環としてこの研究を実施した。そして博士号取得後、7月から疫学の助教授としてMt.Sinaiの地域医療および予防医学部に勤務している。この研究レポートは、American Journal of Public Health(アメリカ公衆衛生ジャーナル)の11月号に掲載されている。研究の共同実施者は、UNCの疫学助教授Steven B.  Wing博士と、Columbia University College of Physicians and Surgeons (コロンビア大学 内科・外科学部) およびMailman School of Public Health (メイルマン大学公衆衛生学部) のAna Diez Roux一般医療・疫学助教授である。

この研究には、UNCが行った「Atherosclerosis Risk in Communities Study(アテローム性動脈硬化症のリスクに関する地域調査)」のデータが使用されている。この地域調査は他の多くの要因に加え、研究対象の食事摂取に関する広範な情報を使用しながら動脈硬化を調べており、地域住民をベースとする長期間の大規模調査であったとMorland博士は述べている。調査対象者は、アメリカ国内の208地域の居住者、またはメリーランド州ワシントン郡、ノースカロライナ州フォーサイス郡、ミシシッピ州ジャクソン、そしてミネアポリス郊外における「国勢調査標準地域」の居住者であった。

摂取した食物の種類と量を詳細に問う質問状に対し、1万623人の調査対象者が回答し、その回答が分析された。また彼らが居住する地域の近辺に、利用可能なスーパーマーケット、食料雑貨店、ファストフード店、レストランが存在するか否かについての詳細も分析されたと、Morland博士は話している。

国勢調査標準地域内の白人アメリカ人居住区には、アフリカ系アメリカ人居住区と比較して、スーパーマーケットの店舗数が5倍多いことが調査結果から判明したと、Morland博士は話す。スーパーマーケットが近辺に少なくとも1店は存在する地区に居住するのは、2,392人のアフリカ系アメリカ人の8%、白人アメリカ人のそれは31%であった。

「教育と収入の格差を考慮してもなお、スーパーマーケットが最低1店は存在する国勢調査標準地域に暮らすアフリカ系アメリカ人は、スーパーマーケットが存在しない地域に居住するアフリカ系アメリカ人と比較して、果物と野菜の食事摂取指針を満足している比率がより高いことが報告されています。特定地域におけるスーパーマーケットの数が多いほど、その居住者が果物と野菜の推奨摂取量を満たしている傾向が高いという結果が平均的に得られています。これは白人アメリカ人についても同様ですが、その格差はアフリカ系アメリカ人ほど顕著ではありませんでした。また脂肪と飽和脂肪の合計摂取量についても同様の結果が得られています」と、Morland博士は話している。

「栄養摂取や食生活の管理を個人の責任と決め付けるのではなく、栄養摂取の環境的要因についての理解を促進するという点でも、これは意義深い研究だと思います。公衆衛生に関わる私達は、充分な栄養を摂らない人を非難する傾向がどこかあったと思います。この研究からは、ある人が手ごろな価格で栄養価の高い食物を簡単に購入することが不可能な地域に居住している場合、その人が他の居住地域の人々ほど健康的な食生活を送っていなかったとしても、それはその人個人の責任ではないことがわかりました」と、Morland博士のアドバイザーであるWing博士は述べている。

「この研究により、人々が生活する状況や物理的環境を、彼らの行動面から考慮することの重要性が確認できました。これまでは、人々が日々生活する場所が実際にどのようなところであるのかも考えずに、彼らの行動を調べる公衆衛生に焦点があてられていました。また公衆衛生研究においては、人種や貧富の格差による健康状態の差異が常に見られます。このような特定グループのあいだで異なる構造的特徴を調査することは、疾患の予防を考えるうえで重要な新しいアプローチになるかもしれません」と、Morland博士は加えた。

食生活と疾病の関係は確立されていると、Morland博士は話す。質の悪い食生活が、がん、糖尿病、高血圧症、先天性欠損症、心臓病を引き起こすということは過去の研究で示唆されている。より健康的な食生活の推奨は、これまで40年以上にわたり行われて来た。

この研究の資金は、UNC School of Medicine Women‘s Health Research Grant (UNC医学部女性医療研究助成金)、National Institute of Environmental Health Sciences (アメリカ国立環境衛生科学研究所)、National Heart, Lung, and Blood Institute (アメリカ国立心肺血液研究所)から提供されている。2001年1月、Morland、Wingの両博士は、近隣地区における食料品店および外食サービスの有用性の格差について、American Journal of Preventive Medicineで論文を発表した。これは、アフリカ系アメリカ人および低所得者の居住地域においては、特にスーパーマーケットの数が他地域と比較して少ないことを示した研究であった。