Subject:

Prevention and Control of Influenza
Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP)

米国と日本におけるインフルエンザについて(MMWRの勧告・レポートから)

Source:

 

翻訳&解説: 永山 洋子

 

米国疾病予防センター(CDC)発行のMMWR(週間情報)はWHO情報と並んでインターネット時代を象徴する有用な医療情報源である。このMMWR情報は今年の日本国内におけるサーズ対策にも大いに寄与した。感染力が強く、診断の困難なサーズのような呼吸器感染症が人々の暮らしに与える影響は大で、今冬のインフルエンザ流行は例年になく臨床家の関心の高まりがある。2003年10月のインターネットによるMMWRのインフルエンザワクチン情報は4月25日付けであったが、記述は詳細で引用論文は321編に及び、かなりのボリュームがある。引用論文はインフルエンザのワクチンに関する情報が豊富で、日本の臨床家にも有益であると思い、今回MMWRに引用されている論文の紹介をさせていただくことにした。米国の不活化インフルエンザワクチンは日本の商品とは異なるが、製造工程は同じである。2002年のアメリカ胸部疾患学会でCDCのDr.Fukudaの講演を聞いたが、講演は"インフルエンザはシンプルな病気と思う人が多いが、こんな複雑な病気はない"という言葉で始まった。インフルエンザに関していくつか日本との違いが明らかにされた。広大な土地の米国でインフルエンザが夏に5ヶ月間流行したことや、船内での流行のエピソードが紹介された。又、大食品会社によるワクチン買占めにより、一般臨床家にワクチンが届かない状態が2000-2001年にあったとのことである。Dr Fukudaは高齢者は11月頃からの接種開始が望ましいが、12月に入ってからも接種すれば意味があることや、高齢者では抗体価の持続が悪くシーズン後に低下するが、同シーズン内での再接種は必要ないことを話した。ワクチン買占めは商業主義の米国らしい現象であるが、ワクチン不足がCDC勧告のワクチン接種順序付けと関係するらしい。米国では経鼻接種の低温処理生ワクチンをFDAがすでに許可していて、その効果に関する質問が会場から出たが、不活化ワクチンより有用かどうかはまだ明確な回答はないようであった。生ワクチンと不活化ワクチンの併用も可能とのことである。生ワクチンの場合は経鼻接種後最大21日間はウイルスが排出されるため、ワクチン接種後は免疫不全状態にある人との接触は避けて欲しいとの記載がある(http://www.cdc.gov/ncidod/diseases/flu/laiv.htm#1)。20世紀にはいり人類は3回のインフルエンザの世界的流行を経験し、若年者からも多くの死亡者がでたが、今回のサーズの流行でも普段健康な若年者も死亡したことを考えると過去のインフルエンザ流行は私たちに多くの教訓を残した。ワクチンの副反応に関しては1975年からギランバレー症候群との関係がとりざたされているが今回その論文も紹介した。この論文によるとギランバレー症候群は一般的に100万人に1人の発症率であり、これがインフルエンザワクチン群では2倍の発症率になった(論文I-D)。もう一つのインフルエンザワクチンの問題点はワクチンに保存剤として入っているチメロサ-ルであるが、これは含有量を少なくし問題は減ったとのMMWRの記載がある。以上述べてきたように、日米ではインフルエンザをとりまく医療事情や医療環境は大分異なり、インフルエンザ接種をうけるかどうかの判断を各個人が行うという自己責任の意識は日本人に乏しい。小児や痴呆老人への接種も議論はつきないが、皮肉なことに乳児のインフルエンザ脳症は日本に多い。今回、ここに紹介した論文はPubMedのサマリーより抜粋し翻訳したものであるがPubMedは無料で検索でき利便性が高い(http://www.healthy.pair.com/)。私は原文の論文は読んでいないことをまずお断りしたいが、翻訳で気になる個所があれば読者各自で原文をご確認いただきたいと思う。又、私の翻訳あるいは認識ミスについてはあらかじめお詫びをしておきたいが、そうした部分に関してご教授・ご鞭撻いただければ幸いと思う。

1)日米の比較
米国のCDCホームページの情報では、委員会勧告により最初(10-11月)にインフルエンザワクチン接種の対象となるのは50歳以上の人たちと6-23ヶ月の小児となっている。次に、2-49歳で基礎疾患を持つ人、9歳以下で過去にワクチンをうけたことがない小児としている。さらにワクチン推奨の職種としてhealth care worker(日本の医療従事者より幅広い職種さすと思われる)とハイリスクの人を介護する人となっている。日本の場合、今年の厚生労働省のホームページに掲載されているインフルエンザワクチン接種の推奨集団は下記であるが、米国の勧告と比べると、推奨集団として具体的に職業集団に触れているのが特徴のように思う。
一方、日本においては、厚生労働省のインフルエンザホームページから抜粋によるとワクチン接種を推奨する集団はAからDまでにランク付されている。

2)ワクチンの有効性にかんしてMMWRに記載されている論文サマリー

A)1962-1987年まで、日本の学童は義務的にワクチンをうけていた。この規則が1987年にゆるめられ、1994年に義務的接種が廃止されたため、日本ではワクチン接種率が落ちてしまった。もしワクチンの接種が続けられていたら免疫は維持され、インフルエンザによる超過死亡(インフルエンザ限定した死亡)は避けられたであろう。1949年から1998年で肺炎及びインフルエンザによる超過死亡を日米の人口動態表により検討した。米国ではこの間の肺炎及びインフルエンザによる超過死亡は同率であったが、日本ではワクチン開始とともにこの率が減少し、米国と同レベルになった。学童のワクチンにより37000-49000人の死亡が防げ、言い換えれば420人の学童がワクチンをうけると1人の死亡が防げる。ワクチン効果は日本においてより明らかであり、肺炎及びインフルエンザによる超過死亡を調べる事により明らかにすることができる。学童のワクチン接種は高齢者の死亡を防ぐ効果がある。Reichert TAらによる N Engl J Med. 2001 Mar 22;344(12):889-96

B)大流行と局所的流行においてインフルエンザが死亡率に及ぼす影響
インフルエンザ流行に伴う死亡は高齢者に多いが、1918-1919年の流行には若年者に多かった。米国における3回のインフルエンザ大流行とその後の10年間のインフルエンザ感染症による死亡の年齢分布を比較検討した。1968-1969年 influenza A (H3N2)の大流行での死亡患者の半分、1957-1958年 influenza A (H2N2)大流行時の死亡患者の大部分、1918-1919年influenza A (H1N1) 流行時の死亡患者の大部分は65歳以下の人であった。こうした大流行の後の10年間は65歳以下の人の死亡は減少した。流行後の年齢層の変化は若年者で抵抗力の獲得ができるためではないかと推測される。Simonsen Lらによる。J Infect Dis. 1998 Jul;178(1):53-60.

C)入院におけるインフルエンザの影響
26 年間(1970-1995)にわたるインフルエンザ流行状況を検討した。 肺炎とインフルエンザによる入院と.死亡を評価することにより、インフルエンザの重症度を検討した。インフルエンザシーズンに肺炎とインフルエンザにより増加する入院数は100,000 人当り49人 (range, 8-102) であり、A型(H3N2) の流行はA(H1N1)/B流行時期の2倍であった。65歳以下の人は全体インフルエンザ入院の57%を占めたが、入院のリスクは高齢者に高かった。肺炎とインフルエンザによる入院状況と死亡は26年間にわたり互いに相関関係にあった。大流行以後65歳以下の入院は減っているが、高齢者では減っていない。この成績は将来的な大流行時にはより若年者の入院の増加を示唆する。Simonsen L らによる。J Infect Dis. 2000 Mar;181(3):831-7

D )ギランバレー症候群とインフルエンザワクチンとの関係につき検討した。 273人のギランバレー症候群患者のうち180人にインタビューによりワクチンとの関係を調査した。ギランバレー症候群になる6週前までにワクチンをうけた人は19人であった。ワクチンを受けた人は受けなかった人より92-93年の間では、ギランバレー症候群になるリスクが2倍高くなり(IC1.0-4.3倍)、93-94年の間では1.5倍高くなった(IC0.8-2.9)。19人中9人においてギランバレー症候群発症は第2週目であり、9-12日目であった。Lasky T らによる。N Engl J Med. 1998 Dec 17;339(25):1797-802.

(II)ワクチン有効性に関する各論文(AからKまで)


A)18―64 歳の健康人におけるインフルエンザワクチンの効果につき検討した。対象人数は1997-1998年はワクチン群 595人とプラセボ群 589人の合計1184人であり、1998-1999年は、ワクチン群587人、プラセボ群604 人の合計1191人であった。症状、医師受診歴、欠勤など2週おきに質問表によりチェックした。血清学的にインフルエンザ感染の検査ができたのはそれぞれの年の23%の人たちであった(1997-1998は275人、1998-1999年は278人)。結果は次のようである。1997-1998年は実際に流行したインフルエンザウイルス株がワクチンとは異なり、血清学的に診断されたインフルエンザ感染症においてはワクチン有効率は50%であったが、ワクチン接種者と非接種者の間でインフルエンザ様疾患や欠勤率などには差がなかった。ワクチン接種者はワクチンをうたなかった人と比べ$65.59 の費用がかかった。1998-1999年には流行株とワクチン株が良く一致したためワクチン有効率は86%であった。この年はインフルエンザ様疾患が34%減らせ、受診率を42%減らせ、欠勤率を32%減らすことができた。この年のワクチン接種者はワクチンを打たなかった人にくらべ$11.17の費用となった。Fukuda K. JAMA. 2000 Oct 4;284(13):1655-63.

B)健康人におけるインフルエンザワクチン効果について
慢性疾患のない264人においてインフルエンザワクチンの効果を検討した。対象はレジデント医師75人を含み、57%が女性である。対象のうち49人がインフルエンザシーズン2回(2年間)、24人がインフルエンザシーズン3回(3年間)に参加した。対象の人に無作為にインフルエンザワクチン群とその他のワクチン群(髄膜炎菌ワクチン、肺炎球菌ワクチン群、偽薬ワクチン群)に割り付けた。血清抗体価はワクチン時、1ヶ月後、インフルエンザシーズン後に測定した。追跡可能人数は3インフルエンザシーズンで述べ359人(99.4%追跡可能)で、週ごとに換算すると述べ4746人であった。血清抗体価から判定したインフルエンザA又はB罹患状況はインフルエンザワクチン無し群では179人中24人(13.45%)、有り群180人中3人(1.7%)であり、有効率は88%であった。熱のある呼吸器症状のあった総日数はワクチン有り群100人中28.7日であり、ワクチン無し群40.6日であった。病欠した日数は100人当りインフルエンザワクチン有り群9.9日、無し群21.1日であった。結論としてインフルエンザワクチンは有効性が示された。Wilde JA らによる。JAMA. 1999 Mar 10;281(10):908-13

C)高齢者向け病院においてワクチンを無料提供された病院と、ワクチン無料提供を受けなかった病院との間で患者のインフルエンザ感染症を比較した。ワクチンを無料提供された病院の医療従事者でのワクチン接種率50.9%となり、一方提供を受けなかった病院における医療従事者でのワクチン接種率は4.9%であった。この両病院において患者のインフルエンザ感染の頻度を比較検討した。インフルエンザ流行時に患者(半数の患者で検査が可能であった)から2週ごとに鼻咽頭ぬぐい液をとった。ワクチン接種群の病院では749人中102 (13.6%)人が死亡し、非ワクチン接種群では688人中154 (22.4%)人が死亡した。インフルエンザの感染率はワクチン接種群の病院5.4%、ワクチン非接種群の病院では6.7%であった。PCRによる検査で剖検にてインフルエンザウイルス感染状況を調べると、ワクチン接種した病院では患者発生は19人中0人に対し、ワクチン非接種群の病院では30人中6人(20%)であった。ワクチンは致死的なインフルエンザ感染症を減らすことができるが、インフルエンザ感染症を減らす事はできない。Carman WF らによる。Lancet2000;355:93.

D)多重盲検法にて高齢者1838人におけるインフルエンザワクチンの予防効果を検討した。ワクチン後3週から5ヶ月にかけて血清抗体価の上昇を調べた。血清学的にインフルエンザ感染が証明された人はワクチン群4%、非ワクチン群9%であった。インフルエンザ(臨床診断)の症状が出た人はワクチン群2%、非ワクチン群3%であり、血清学的診断と臨床診断をくみあわせるとインフルエンザワクチン群の相対危険は0.42に減少した。Govaert TM らによる。JAMA. 1994 Dec 7;272(21):1661-5

E)基礎疾患を有した高齢者をハイリスク(心疾患、肺疾患)群、中間リスク(糖尿病、腎疾患、痴呆、関節リウマチ)群、ロウリスク群に分けてワクチン効果を検討した。6シーズンにおいてワクチン群は肺炎による入院を39%減らし、呼吸器疾患での入院を32%減らし、うっ血性心疾患による入院を27%減らした。ワクチンの有効性にかんする結果は、ハイリスク群29%、中間リスク群32%、ロウリスク群49%の割合で肺炎とインフルエンザによる入院を減らすことができた。ハイリスク群19%、中間リスク群39%、ロウリスク群33%の割合で呼吸器による入院を減らした。直接の医療コストは1人につき$73のコストの削減効果があった。ハイリスク群では$171のコスト削減が可能であり、ロウリスク群では$7のコスト削減であった。以上の結果から、結論は65歳を過ぎたらワクチンをうけるのは意味がある。Nichol KLらによる。Arch Intern Med. 1998 Sep 14;158(16):1769-76.

F)日本のデータ。平均7歳(2歳から14歳)のインフルエンザワクチンの有効性について検討した。85人はワクチン(3価)群、52人は非ワクチン群であった。ワクチン株はA/Beijing/352/89 (H3N2) と B/Bangkok/163/90であった。ワクチン有効性は発熱とインフルエンザ反応陽性(血清抗体と分離)で判断した。インフルエンザAに関してはワクチン株は流行株とは異なり、流行したA型では抗原変化が大きかったが、ワクチンの有効率は67.5%であり、B型に関してはワクチン株とほぼ同じ型が流行したが有効率は43.7%であった。B型は特に7歳以下の児に有効性が低かった。Sugaya N,らによる。JAMA. 1994 Oct 12;272(14):1122-6.

G)1997年の日本のデータ。ワクチンの有効性にかんする有意な数値はえられなかった。ワクチンにより高抗体価がでられた人(73%)ではワクチンの有効率は86%であった。実際のワクチン効果をみる試験をやる時は多くの障害がでてくる。より高い抗体価が獲得できるようなワクチンの開発が望まれる。Hirota Y らによる。Vaccine. 1997 Jun;15(9):962-7

H) インフルエンザワクチン効果を血清診断と臨床診断により検討した。生ワクチンは48% (95% IC24% -64%の有効率)の有効率で、不活化ワクチンの有効率は平均68%(49%-79%の有効率) (95% IC49% to 79%)であった。臨床的な病気の減少率は生ワクチン13% であり、不活化ワクチン24%であった。血清学的に診断されるインフルエンザはワクチンによる減少効果がみられたが、実際のインフルエンザ様疾患は減らすことができなかった。Demicheli V らによる。Cochrane Database Syst Rev. 2001;(4):CD001269.
同じ著者は、Vaccine. 2000 Jan 6;18(11-12):957-1030.の論文 で次のように述べている。有効なワクチンは望ましい手段であるが、病気の減少効果や局所反応の不快感などワクチンによる他の条件を考えると、必ずしもワクチンがインフルエンザ予防の有意な手段であるとは限らない。経済効果で言うのなら14-60歳の人では何もしないことである。

I)インフルエンザによる高齢者の入院と死亡をワクチンによる予防が可能かどうかをコホート調査で検討した。対象となった人数は122,974 人 (1996-1997年の1年目調査)と158,454人 (1997-1998年の2年目調査)であった。ワクチンをやらない群ではインフルエンザによる入院及び死亡は1年目の検討では、健康老人では8.2 人(1000人当り)、ハイリスク群では 38.4人(1000)であり、2年目の検討では健康人では8.2 人(1000人当り)、ハイリスク群では29.3人(1000人当り)であった。一方ワクチンを接種すると、インフルエンザによる入院と死亡のリスクは1年目は48%、2年目は31%減らす事ができた。ワクチン効果は健康老人、ハイリスク老人群共にみられたが、健康老人とハイリスク群を比較すると、ハイリスク群の方が2.4から 4.7倍高くワクチン予防効果が認められた。結論としてインフルエンザの予防接種はすべての高齢者に恩恵があるが、ハイリスク群に特に効果が高いことがわかった。Hak E,らによる。 Clin Infect Dis. 2002 Aug 15;35(4):370-7. Epub 2002

J)インフルエンザワクチンの有効性に関する20件の過去のコホート研究の成績を文献的に比較検討した。予防接種群とプラセボ群を比較した成績は、次のようであった。ワクチン群での気道症状はプラセボ群の気道症状と比べ56%(95% Cl, 39% to 68%)減らす事ができた。ワクチンは肺炎発症に関しては53%(Cl, 35% to 66%)の有効率であり、肺炎については50% (Cl, 28% - 65%)の有効率であった。死亡は68% (Cl, 56% to 76%)の有効率であった。さらにワクチンと偽薬との対照試験のできた研究成績(無作為多重盲検試験)について検討し次のような結果を得た。ワクチン群はプラセボ群と比べ、肺炎による入院は32%〜45%減少させることができ、肺炎やインフルエンザからの死亡は31%〜65%減らす事ができ、全ての原因による死亡は 27%〜30%減らす事ができた。Gross PA らによる。Ann Intern Med. 1995 Oct 1;123(7):518-27

K)18-64歳の働いている健康成人を対象に無作為に割り付けてプラセボ群とインフルエンザワクチン群を比較した。上気道症状やそれによる欠勤状況や医師受診程度によりワクチン効果を検討した。849人が対象となり、1994年12月1日から1995年3月1日の間に検討した。100人当り、上気道症状のエピソードはワクチン群105回、プラセボ群140回と25%の減少がみられ、病欠は100人当り、ワクチン群70日、プラセボ群122日と、43%の減少がみられた。医師受診回数はワクチン群31日、プラセボ群55日となり44%少なくなった。ワクチン接種は1人につき$46.85の経費節約効果がでた。Nichol KL らによるN Engl J Med. 1995 Oct 5;333(14):889-93.

(III)小児科におけるインフルエンザトピックス(AからDまで)

A) 日本におけるインフルエンザに伴う脳炎・脳症
1998-1999年にかけて日本におけるインフルエンザ脳症の国内調査を行った。202人を対象として検討したが、ウイルス学的に148名がインフルエンザ脳症・脳炎と診断された。130名 (87.8%) はインフルエンザA型で17名はB.型であった。インフルエンザ症状がでた当日あるいは翌日に脳炎あるいは脳症の臨床像が出現した。主たる症状は意識消失、痙攣、嘔吐、咳などである。死亡率は31.8%で、後遺症は27.7%と高かった。血小板減少、トランサミナーゼ高価が予後の悪さと関係した。進行の早い者は予後も悪かった。Morishima T らによる。Clin Infect Dis. 2002 Sep 1;35(5):512-7.

B)1974年から1999年までの25年間にウイルス検査により診断した健康小児のインフルエンザウイルス感染症を検討した。クリニックを受診してインフルエンザウイルス分離陽性にてインフルエンザ感染症と診断された95エピソードのうち46エピソードは中耳炎の診断で、下気道炎は8エピソードであった。中耳炎、下気道炎は2歳以下の児に多かった。入院を要するインフルエンザ感染症は2歳以下に多く1000人中3-4人の割に起きてくる。Neuzil KMらによる J Infect Dis. 2002 Jan 15;185(2):147-52.

C)1980年から1999年にかけて小児インフルエンザ感染症で入院を要した小児を検討した。診断はインフルエンザA又はB型の抗原検査によった。15,420人中683人が診断された。1/4は基礎疾患のある患者であった。中耳炎は24%にみられ、肺炎は9%にみられた。これらの患児の症状は臨床的に特徴的なものは無く、病原診断をすることが大事であった。Peltola V らによる。Clin Infect Dis. 2003 Feb 1;36(3):299-305..

D)小児科におけるインフルエンザ感染症を検討した。304 人中99 (33%) がインフルエンザウイルス陽性であった。A/H3N2型が30%で B型が3%にみられた。インフルエンザ陽性患者の30%は呼吸器が主病変ではなかった。0―11ヶ月の児では5人に1人が入院し、237人(100 000人当り)の患者がいた。8病日で治まった人は63%で、15病日までに治まった人は94% であった。平均病日は8日間であった。Ploin D らによる。Pediatr Infect Dis J. 2003 Oct;22(10):S218-S222.

(付記)
有効率とはワクチン群と非ワクチン群の差(分子)と非ワクチン群(分母)との割合である。分母となるのが、非ワクチン群の発病率で、分子が非ワクチン群の発病率からワクチン群の発病率を引いた値(百分率なので100をかける)である。
たとえば有効率が100%とはワクチンをうった人からはひとりも出なかった場合です。50%とはワクチン群が非ワクチン群とくらべて発症が半分に減らせた場合をいいます。たとえばワクチン群100人中発症が10人で、非ワクチン群100人中20人の場合は有効率50%です。ワクチン群の発症が100人中19人で、非ワクチン群100人中20人の場合は有効率5%となります。