ミシガン大学の研究グループは、在宅医療介護の質を評価する新しいツールの開発に参加した。このプロジェクトの目的は、在宅介護の改善、そして介護に関する意義あるフィードバックの提供であった。
The Gerontologist 2005 年 1 月号の中でこの研究チームは、 22 項目の測定基準に基づいた在宅医療介護の質を示す指標について記述している。介護事業者、政府、そして一般消費者は、これら 22 項目の測定結果から在宅介護の質を評価することができる。この評価は、「 interRAI 」(高齢者および障害者向けのケアを改善することを目的とする、医療情報システムの開発に携わる世界 26 カ国の研究者・臨床医のネットワーク)が実施したプロジェクトであった。
ミシガン大学公衆衛生学部、衛生管理・医療政策教授であり、同校の老人病学研究所教員の Brant Fries 教授は、連邦政府が定めた調査である「 Resident Assessment Instrument (RAI) 」の開発に協力した。この調査では、老人ホームに居住する高齢者を対象に、毎年 1500 万件の RAI 評価が行われている。後に Fries 教授は、世界中の老人ホームや在宅医療介護を同じ視点から調査する国際リサーチ・コンソーシアム「 interRAI 」を設立した。同教授は、 Gerontologist に掲載された論文の共同著者でもある。
Fries 教授は、実践に関する総合的なデータを構築することは、介護事業者がその得意分野や弱点を認識できるという利益をもたらすと話している。また同教授は、介護事業者に対し、その長所を尋ねることは一般的であるが、実際のデータが自社に関する彼らの認識を裏付けるとは限らないと話す。「介護事業者は、自社の位置付けや現状を認識する必要があります。そうすることで、現行の実力を維持し、ベスト・プラクティス(最良の実践)を共有することができます。また自社の改善点が何であるのかを明確に把握することも必要です」と、 Fries 教授は話している。
測定された 22 項目は全て、アメリカの 10 州および複数の国で採用されている interRAI 評価の「 Minimum Data Set---Home Care 」に含まれており、追加のデータ収集を要することなく測定値が入手可能であるという大きな利点があった。
新規に開発されたこの一連の指標は、インフルエンザワクチンの投与、患者の薬物治療の検閲、 ADL (日常生活の活動)における機能評価といった効果の確認など、様々なプロセスを考察する。研究グループは、まず可能性のある 73 の指標について調べたが、その中から在宅介護事業者を比較するうえで優良な統計学的情報につながらなかったものを排除した。
データを考察した結果、全分野に優れている特定の在宅介護事業者も特定の地域も存在しないことが明らかとなった。例えば患者のケアに関する評価値が高い場合、大抵は他の項目が平均か平均以下であったと、 Fries 教授は話す。研究グループは、多くの在宅介護業者に改善の余地が見られる分野をいくつか確認している。例えば、研究対象となった在宅介護利用者の 32 %は、過去 2 年間にインフルエンザワクチンの接種を受けていなかった。さらにリハビリによる効果を期待できる在宅介護利用者の 70 %以上が、身体療法や作業療法を受けていないことも明らかになった。
在宅介護費用が、医療費における最も重要な用途の一つとなった現在、いずれの地域においても、通常は在宅介護利用者の数が、施設での介護利用者の数を大幅に上回っている。現在 2 万以上の介護事業者が、急性疾患、長期的症状、永久的な障害、末期症状などの理由でサービスを必要としている約 760 万人の患者を対象に在宅介護サービスを提供している。「在宅介護は、プライマリケア、救急処置、長期的ケア、精神衛生サービスにおいて重要な連係機能を担います。在宅介護の質を向上させることは、医療制度全体に恩恵をもたらすでしょう」と、 Fries 教授は話す。
現在医療制度のあらゆる分野において、ケアの質を向上する、サービス提供の費用効果を改善する、ベスト・プラクティス(最良の実践)の認識と採用を促進する、介護サービス事業者の公に対する説明責任を強化するなどの目的の下に対策が進められている。このような変化は早いペースで起こっており、「特定サービスの主要ターゲットとなるのはどの人口グループか」、「最も費用効果が高いのは何のサービスか」といった重要な疑問に対する明白な回答は不在のままである。さらに、「在宅介護の成果をどのように評価するのか」、「ケアを提供するうえで家族が担うべき役割は何か」、「複数のサービス事業者が関わる在宅介護制度では、どのように説明義務を果たすのか」という疑問も残されている。
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