妊娠期間中にタバコをやめる女性の数が増加している一方で、妊娠前後における喫煙習慣では同様の傾向が見られないことが、10万人以上の女性を対象に実施された調査で明らかになった。
アメリカ女性の喫煙率は、過去10年間で総体的に減少したが、妊娠の前後や妊娠中など特定時期にある女性の喫煙率に関する詳細は、これまでほとんど明らかにされていなかった。過去に行われたこの種の調査と比較して、今回の調査は規模が数段大きいという点で異なる。「時間を超え、そして州を超えて収集されたデータを使用し、私達は、妊娠前、出産後、妊娠中の女性を対象に、喫煙に関する詳細な情報を含む、地域住民をベースとする過去最大のサンプルを構築しました」と、調査レポートの著者、ニューヨーク市のPace大学経済学部およびNational Bureau of Economic Research(国民経済研究所)のGregory J. Colman博士は話している。
Colman博士は、共同研究者である、City University of New York's Baruch College(ニューヨーク・バルーク市立大学)経済学部およびNational Bureau of Economic Research(国民経済研究所)のTed Joyce博士と共に、女性11万5,000人のデータを分析した。このデータは、Centers for Disease Control and Prevention(アメリカ疾病対策予防センター)のPregnancy Risk Assessment Monitoring System(妊娠のリスク評価モニタリング・システム)によって、1993〜1999年に全米10州で収集されたものだ。
妊娠中に喫煙を止めたという女性は、調査期間中に37%から46%へ増加した。しかし、妊娠前および出産後にタバコを止めたという女性の数については大きな変化は見られなかった。妊娠中にタバコを止めた女性のうち約60%が、出産後6ヶ月以内に喫煙を再開していた。
またこの調査では、特定の女性グループの喫煙習慣に関する結果も得られている。例えば「黒人、第一子の出産、個人の医療保険、大卒」の女性は、「白人、初産でない、メディケイド(低所得所者用の医療扶助)の医療保険、高卒」の女性と比較して、妊娠中に喫煙を止める傾向が高く、また出産後に喫煙を再開する傾向が低い。さらにティーンエイジャー(13〜19才)は、20才以上の女性と比較して、妊娠中に喫煙を止める傾向が高く、出産後に喫煙を再開する傾向も高い。
妊娠中に喫煙を止める比率が高かった理由としては、喫煙が母親や家族に与える危険性を訴える1993年に始まった公衆衛生の取り組み、また1998〜1999年にタバコの価格が32%も上昇したことも考えられると、調査レポートは記述している。
「タバコ企業数社とアメリカ46の州政府との間で1998年に成立した和解案の報道、そしてこの和解案に達するまでの数々の訴訟などが、反タバコの動きを助長したのかもしれません」と、Colman博士は加えた。この調査結果は、American Journal of Preventive Medicine(アメリカ予防医学ジャーナル)の1月号に掲載されている。
またColmanとJoyceの両博士は、この調査で報告された妊娠中の禁煙率が、実際はその数字が示すほど喜ばしい結果ではないことも認識している。つまり、妊娠中の喫煙が悪いことであると認識しているために、タバコを止めたとうそをついた女性も多かった可能性があるということだ。「喫煙が妊婦に有害であるという意識がより高まったために、自己申告による禁煙率も高まったのではないかと、私達は推測しています。妊娠前と出産後の喫煙については、赤ちゃんが健康であった場合は特に、妊娠中の喫煙ほど悪い印象は無いのかもしれません」と、Colman博士は述べている。
母親の喫煙を大幅に減少させるには、さらなる公衆衛生の取り組みが必要であると両博士は提言している。「妊娠期中にタバコを止めた女性に的をしぼった禁煙療法が、新生児や子ども達を間接喫煙の危険から守るための有効な方策となるかもしれません」と、Colman博士は最後に述べた。この研究の資金は、National Institute for Child Health and Human Development(アメリカ国立小児保健発育研究所)の助成金から提供されている。
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