糖尿病は、心筋梗塞患者の予後の悪化に関与しているが、そこに男女間の差異が存在するか否かについてはあまり知られていない。
急性冠症候群(心筋梗塞または不安定狭心症)の退院診断を受けた1万253人(女性3,329人)を分析した「Euro Heart Survey ACS(ヨーロッパ心臓調査-急性冠症候群)」において、調査参加者の糖尿病罹患率は、女性28%、男性20%であった。
糖尿病を合併している男性は、そうでない男性と比較して、疾患の重度が軽い傾向にあった。つまり糖尿病を合併している男性では、ST上昇型急性心筋梗塞(早死にの比率が最も高い心筋梗塞)が少なく、より良性型の急性冠動脈疾患である不安定狭心症が多く見られた。このような差異が見られる主な理由は、男性の糖尿病患者の大部分が心筋梗塞のために入院を経験しており、より多くの薬剤治療を受けているためである。
しかし女性の状況はこれとは異なる。糖尿病を合併している女性患者では、そうでない女性患者と比較して、ST上昇型急性心筋梗塞が多く、不安定狭心症が少なかった。これは、女性の糖尿病患者は過去により多くの心筋梗塞の経験があり、またより多くの薬物治療を受けているという事実を考慮したうえでの結果である。
女性患者の病院死亡率は、糖尿病を合併していた女性では8.6%、そうでない女性では4.9%であった。一方男性患者の病院死亡率は、糖尿病を合併していた男性では4.8%、そうでない男性では4.0%であった。
結論:急性冠症候群に合併した糖尿病に罹患した女性では、ST上昇型急性冠症候群のリスク、および病院死亡率のリスクが高くなる。一方男性に見られる急性冠症候群に合併した糖尿病は、これらのいずれのリスク増加にも関与していない。これらの研究結果は、糖尿病が患者の性別によって、急性冠症候群の病態生理学に異なる影響を与えることを示唆している。
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